ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる生漆液及び調製漆液の鑑別

ゲルパーミエーションクロマトグラフィー（ＧＰＣ）による生漆と調製漆の鑑別について検討した。東南アジアの若干の国において産出された生漆をクロロホルムを溶媒としたＧＰＣで分析し、少量の乾性油及び２、３の漆フェノール成分に分離できた。各クロマトグラムは採取漆樹種に特有なクロマトグラムを示すが、各々のクロマトグラム相互の差異は小さく、それらの生漆の種類の鑑別には赤外吸収スペクトル法の方が有効と考えられた。各国産の生漆を日本国内で調製した調製漆及び輸入の調製漆をＧＰＣで分離すると生漆のものと異なるクロマトグラフを示し、生漆との鑑別が可能であった。また溶出液を分取し、赤外吸収スペクトルで分析することにより添加物（油脂、エステルガム、その他の合成物質）を同定できた。