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145
題名
Title
本朱漆の呈色
掲載文献名
Publication title
日本色彩学会誌 Vol.7 No.3 p.3-10
発行所
Publisher
色彩学会
発行年
Publish Date
1983
分類
Type
報文
言語
Language
日本語
所蔵者
Location
京都市工業試験場
著者
Author
小磯稔
概要
Summary
本実験は漆職人の間で経験的に行われている本朱漆の製法や乾燥条件(主として塗面の方向)等を基盤として試料を作り,測色を通じて客観的データを求めたものであるが,この実験を通じてその経験的行為が実証できたことや,本来の混合比等について適切な値を探し得たことに意義を感じた。 なお,データを基に本朱漆製法等の諸条件をまとめると次のようになる。(1)本朱顔料の混合比は60vol%(72.5wt%)が適当である。それ以上の混合比を要求する場合においても70vol(80.0wt%)未満にしなければならない。(2)本朱混合後は必ず一定時間寝かせてから塗装するべきである。ねかす時間は7日間前後が妥当と考えられる。(3)塗面は下向きに乾燥する方が高彩度の呈色を得やすいが,それだけ上向乾燥と呈色差が大きくなるから,立体物の乾燥に際しては一定時に回転させるか,回転乾燥風呂などで常に塗面方向を同一条件に保つ必要がある。(4)乾燥風呂の湿度は必要最低限におさえなければならないことを試料作成過程で痛感した。 今回は本朱漆の作成後の呈色について報告したが,漆呈色に関する問題としては他の彩漆の呈色,塗装後長時間(5年以上)経過した場合の塗膜の透明化と呈色変化の問題など多くの研究課題をひかえ,現在実験を継続中である。それらの成果は次の機会にゆだねたい。
データベースに収録されている文献は京都市産業技術研究所 工芸漆チームが管理しています
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