透漆塗膜に関する研究－第１報－「透け」における色変化の特徴と経時条件による違い

透漆塗膜の「透け」について、暗所保存、北窓光放置、紫外線照射による促進の３条件下の色変化としてL*a*b*表色系を用いて、その色彩的特徴と相互の関係を検討した。その結果「透け」とはL*値の増加とa*b*色度図上で連続的に円弧を描きながら変化する方向性を持った色変化であることがわかった。　　　　　　　　　　　　　　暗所保存でも「透け」は進行しており、漆によって差があるが暗所保存８ｹ月が北窓光放置の7日～6週間に当たった。北窓光放置とｻﾝｼｬｲﾝｶｰﾎﾞﾝｱｰｸ灯を用いた紫外線照射の関係は後者が色変化の促進に有効であることは確認されたが対応関係については明らかに出来なかった。　　実験の結果から「透け」が良かった漆は素黒目漆では日本産＞毛・産＞城口産、市販漆では消朱合漆＞赤ろいろ漆の順であった。