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題名
Title

漆塗膜の物性に関する研究(第1報)「動的粘弾性と応力~ひずみ性の経時変化」

掲載文献名
Publication title
"京工試研究報告,17,70(1989)"
発行所
Publisher
京都市工業試験場
発行年
Publish Date
1989
分類
Type
研究報告
言語
Language
日本語
所蔵者
Location
京都市工業試験場
著者
Author
阿佐見徹・大薮泰
概要
Summary

漆塗膜物性の特徴を知るために,動的粘弾性と応力~ひずみ性の暗所保存における経時変化について検討した。結果をまとめると以下のとおり。 (1)漆膜は日を経るにしたがって,E'が徐々に上昇し,温度曲線の感温性が小さく,広い範囲にわたって大きな値を示し,tanδ曲線もブロードな形状を示すなど漆塗膜特有の動的粘弾性の特徴が確認された。また,高温E'の増加,Tgの上昇に示されるように橋かけ密度が上がり,塗膜の硬化反応が進んでいることが確認された。この反応は酵素ラッカーゼによるものでなく,ウルシオール側鎖の二重結合にかかわる反応と考えられる。さらに高温E',Tg,tanδmaxの変化が180日後でほぼ安定することから,暗所保存において漆の硬化は約6ヶ月かかることがわかった。 (2)実用的物性を知る上で重要な応力~ひずみ性は抗張力が90日まで増加傾向にあった。破壊伸びが14~30日後まで減少し,その後90日まで安定していた。破壊伸びが14~30日後低下せずに抗張力が増加するのは硬くて,柔軟性のある塗膜になっていることを示し,90日後の抗張力が高く,伸びも抗張力の値を加味すると比較的大きいことから,塗膜の強靱性が確認されたものと考える。動的粘弾性の結果から判断すると,90日以降も膜の硬化は進み抗張力の増加,破壊伸びの低下が予想されるため。さらに引き続いて測定を行う必要があると考える。

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