不乾性漆のゴム質水溶液添加による改質効果

中国産の乾燥が正常な生漆よりラッーゼを含むゴム質を抽出し，これを乾燥しない生漆（不乾生漆）に加え，乾燥性の改善を試みた。さらにこの改質した不乾生漆を素黒目して両者の物性とゴム質水溶液の添加量について検討を行った。　その結果次のことが明らかになった。　１）ゴム質水溶液の添加量に比例して，不乾生漆（R系）並びに素黒目した不乾生漆（S系）の乾燥は早くなること。　２）R系，S系の経時変化と室温E'の関係は，R系で10wt％，15wt％添加のものは成膜後２～３週間の間で，5wt％添加のものは３週間後に1010dyn/cm2に達した。一方S系では5wt%,10wt%,15wt%添加，ともに１週間後に1010dyn/cm2に達した。　３）ゴム質水溶液の添加量とTg，tanσの関係ではR系，S系ともに10wt%，15wt%添加のものが良い結果を得た。そしてTg，tanσの経時変化はR系では，25週間目まで続いているが，S系では18週間目以降安定した。