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題名
Title
漆塗膜の動的粘弾性(第1報) 塗膜の力学緩和過程
掲載文献名
Publication title
木材学会誌 Vol.44 No.2 p.89-95
発行所
Publisher
木材学会
発行年
Publish Date
1998
分類
Type
一般論文
言語
Language
日本語
所蔵者
Location
京都市工業試験場
著者
Author
小幡谷英一・大野善隆・則元京
概要
Summary
日本産の透漆、黒漆および生漆の塗膜の動的弾粘性率(E′)および損失正接(tanδ)を-150℃から400℃の温度範囲で測定し、観測された力学緩和過程を、漆塗膜を構成するウルシオール分子の構造と関連づけて考察した。漆塗膜のE′は、-50℃から100℃の範囲で温度とともに急激に低下し、150℃以上で増加し、200℃以上でほぼ一定であった。またtanδには、11Hzにおいて、30℃から100℃、-60℃付近、および-140℃付近にピーク(α、β、γ)が認められた。常温で2ヶ月間エージングした漆塗膜において、α、β、γの見かけの活性化エネルギーは、それぞれ65から75kcal/mol、13kcal/mol、8から9kcal/molであった。E′の急激な低下に対応するα緩和は重合したウルシオール分子鎖のミクロブラウン運動に、高温域でのE′の増加は未硬化のウルシオールの酸化重合に起因すると推察された。また、β、γ緩和はそれぞれ吸着水が関与した分子運動、ウルシオール分子側鎖メチレン基の運動によるものと推察された。常温における2ヶ月のエージングあるいは200℃、2時間の熱処理によって、漆塗膜の硬化が進行し、α緩和過程の温度位置は高温側に移動した。
データベースに収録されている文献は京都市産業技術研究所 工芸漆チームが管理しています
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