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題名
Title

外装用漆塗装法の耐候性向上に関する試み(1)

掲載文献名
Publication title
保存科学 No.39
発行所
Publisher
発行年
Publish Date
2000
分類
Type
研究報告
言語
Language
所蔵者
Location
著者
Author
井口 智子,川野邊 渉,加藤 寛,板垣 義郎,舘川 修
概要
Summary

わが国には,外装塗装に用いた木造建築物が多い。良く知られているように漆は酸・アルカリなどの化学薬品等には高い抵抗性を示すが,紫外線に対しては非常に耐候性が低くチョーキングを生じやすい。このため,漆を外装用塗装に用いた場合には,漆特有の美観を保つために,短い間隔でのメンテナンスが要求される。近年,漆外装を有する建築物において,その費用の大きさから,充分短い間隔でのメンテナンスや再塗装が困難になってきている例が多い。このため,修復技術部では,従来の漆塗装方法を詳しく見直し,また一部に新しい塗装材料や技法を導入することによって漆を用いた外装塗装の耐候性を向上することを試みている。また,従来漆塗り建造物には無節の良材が用いられてきたが,資源の減少に伴って高価なものとなっている。漆塗り塗装を行ってしまうと材料の肌を見ることができなくなるので,仮に高価な有節の材料を用いることができれば,修復費用の削減に役立つこととなる。しかし,節の部分と他の部分とでは温湿度条件による変形の度合いや水分や塗装の吸収の性質などが異なる。このことによって節の部分で塗膜に力が加わり亀裂の原因になる。これを避けるために従来の手法では布着せなどが行われたが,充分とは言えない。そこでより強度のある材料によって節の部分の影響を取り除く方法も検討している。

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