屋外用漆を利用した自動車塗装

ここ数年来研究開発してきた屋外用漆を利用し，平成15年6月に朱溜塗乗用車を完成させた。蛋白質加水分解物を生漆に4％添加し3本ロールミルで精製した透漆およびこの透漆にペリレン系有機顔料を分散させた朱漆を，朱漆→透漆の順で塗り重ね，磨き仕上げを行った。トルエン希釈の漆をエアスプレーにて塗装を行ったが，塗装ブース内において，湿しを掛けずに一昼夜で充分に乾燥した。完成後日常的にこの乗用車を使用し，光沢や膜厚の経時変化を測定している。その結果実走行約9ヶ月のところ（平成16年3月），光沢の保持は良好であり，日光や雨ばかりでなく熱等にも充分耐えうる漆膜であることが確認された。一方膜厚は5～10um減少し，膜厚の減少をいかに抑えるかの課題も分かった。