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題名
Title

紫外線と水分が黒漆塗膜の劣化に及ぼす相乗的な影響

掲載文献名
Publication title
色材 76 (10) ,385-390
発行所
Publisher
色材
発行年
Publish Date
2003
分類
Type
論文
言語
Language
日本語
所蔵者
Location
京都市産業技術研究所
著者
Author
島津美子・川野邊渉
概要
Summary

漆塗膜は紫外線に対して脆弱であることが広く知られているが,漆塗りが外装にほどこされた歴史的建造物においては,紫外線のみでなく,風雨などその他の劣化要因も存在する。本稿では実際に外装に用いられる漆から黒漆を選択し,劣化要因となりうる紫外線照射や水漬,さらに,それらのサイクルによる劣化促進実験を行った。特に,水漬後は風乾あるいは水滴除去をほどこし,塗装表面に残存した水滴の有無によっても表面状態に差異が生じるかどうかを検討した。劣化促進実験後は,光沢度の変動に加え,走査型電子顕微鏡による表面観察から劣化状態の評価を行った。その結果,紫外線照射後の水漬により塗膜成分の一部が流失し,塗膜表面に微小な空隙孔を多数形成していた。また,紫外線照射及び水漬の後,風乾させた塗膜では,光沢度の減少が著しく,もっとも表面状態が乱雑化していた。このことから,紫外線照射後の水漬による劣化表面の除去,あるいは水分蒸発が漆塗膜表面におよぼす影響が甚大であることが確認できた。同時に,水漬直後に塗膜表面の水分を速やかに除去することによって,漆塗膜の表面光沢をある程度維持できることも明らかになった。

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