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題名
Title

環境対応型ハイブリッド漆塗料の開発

掲載文献名
Publication title
第21回塗料・塗装研究発表会講演予稿集 p.39
発行所
Publisher
第21回塗料・塗装研究発表会講演予稿集
発行年
Publish Date
2006
分類
Type
資料
言語
Language
日本語
所蔵者
Location
京都市産業技術研究所
著者
Author
宮腰哲雄,石村敬久,山崎 圭,陸 熔
概要
Summary

漆液の乾燥は益虫のラッカーゼ酵素による脂質成分ウルシオールの酸化重合とウルシオール不飽和側鎖の自動酸化反応で進行する。その塗膜は美しい光沢と独特の質感を有し,加えて機械的強度・耐熱性・耐薬品性などの塗膜物性に優れている。また天然塗料であるため,乾燥時に揮発性有機化合物(VOC)の放出がなく,環境に優しい塗料であると言うことが出来る。このように優れた特徴を有する漆塗料であるが,欠点も多く有してる。特に,酵素酸化重合プロセスは高湿度環境(70%RH前後)を必要とするなど,漆独特の乾燥性は工業規模での利用を妨げる要因となっている。以前,我々はアミノ基とメトキシ基を有する有機ケイ素化合物(N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン:AATMS)を漆液に添加し,漆液成分と反応させることで,50%RH程度の湿度環境下においても乾燥し,かつ通常の漆液に比べて半分以下の時間で乾燥するハイブリッド漆を開発した。このハイブリッド漆は,有機ケイ素化合物と漆液成分(ウルシオールおよび水分)の反応による高分子量化のため,乾燥性が向上していることが判明している。しかしながら同反応によりメタノールが副生し,乾燥中に大気中に放出されるため,漆塗料が持つ溶剤フリーという長所が損ねられていた。そのため今回はAATMSに代わり,加水分解副生物がエタノールとなるN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン(AATES)を用い,さらに加水分解処理とエタノールの留去を行うことで環境対応型ハイブリッド漆塗料の開発を検討した。

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