劣化した漆塗膜に対する強化手法の外観への影響

漆はアジア地域に産出する固有の天然高分子であり，古来より優れた耐久性と美観などから使用されている。しかしながら漆は紫外線に弱いことで知られ，紫外線照射により塗膜の光沢低下，白色化，亀裂発生などを生じる。そこで劣化塗膜の強化が必要となる。　本研究は，劣化漆塗膜の強化手法に関する基礎的研究として，「摺り漆」「漆固め」という各手法を施した漆塗膜表面の外観変化を定量化し，修復の際に重要と考えられる光沢および色の変化について観察したので，ここに報告する。